2004年の夏頃にイギリスから一本の国際電話が入りました。 パインウッド・スタジオと聞いた瞬間、真っ先に007のジェームス・ボンドシリーズを思い浮かべて心がときめきました。 ところが今回はティム・バートン監督が 製作中の子供用映画のワン・シーンに使う背景を撮影して欲しいとのことでした。 東京のネオンが密集している繁華街を、日没直後の空がまだ少し明るい間に8x10カメラで撮るとのこと。 しかも子供映画なので風俗店のネオンは不可だし、 ハッキリと読める店名は避け、手前に人や車が写らないように地上3~4メートルの高さから撮って欲しいというリクエストでした。 とりあえずデジカメで都内のめぼしい場所をロケハンして先方に見せた結果、決まった場所は一番忙しい新宿の 交差点付近からのアングルでした。 おまけにこの位置は後ろには高さを稼げるビルもなく、線路しかありません。 予算があれば屋根に撮影台のついた大型ロケバスを頼めるのですが、そうも行かなかったので偶々屋根に荷台のついたSUV を持っている友人に頼み込んで、駐禁の取り締まりにハラハラしながら何とか撮影しました。 下の交差点を渡っていらっしゃる方たちから見ればかなりこっけいに見えたと思います。 有難いことに映画のセットデザイナーやアート・ ディレクターには大変好評でこのホームページの Testimonial にコメントを一部紹介させていただいております。子供映画と聞いていたので日本では公開されるかどうか疑問でしたが、昨年の公開時には若い女性層の間で大ヒット してびっくりしました。 私の周りでも映画館で6,7回も観たという女性が二人ほどいます。 近々DVDも発売されますが、これもかなり前予約が入っているそうです。 私の撮った写真が映るのはほんの一瞬で、瞬きでもしようならば見逃して しまうほど小さな場面です。 しかし、これだけ話題になった映画に関われたことは大変嬉しいことです。